マニフェスト比較①~「法律」編

2017総選挙

来る10月22日(日)投開票の第48回衆議院議員総選挙に向け、比例代表に候補を擁立している各政党のマニフェストを項目ごとに比較してみたいと思います。
今回は、「憲法改正」問題を中心に、「法律」に関する内容を取りあげていきます。

ここでは、第48回衆議院議員総選挙において、「比例東京ブロック」に候補を擁立している政党・政治団体を届出順に取り上げます。

日本共産党

日本国憲法は、9条という世界でもっともすすんだ恒久平和主義の条項をもち、30条にわたる豊かで先駆的な人権条項が盛り込まれています。変えるべきは憲法ではなく、憲法をないがしろにした政治です。
日本共産党は、現行憲法の前文を含む全条項をまもり、とくに平和的民主的条項の完全実施をめざします。

出典 政策ダイジェスト|日本共産党中央委員会

共産党は、9条を中心とする憲法の改正に反対の立場をとっています。また、9条のみならず憲法の改正そのものに反対の立場をとっており、その観点から集団的自衛権の限定的な行使を認める平和安全法制(2015年成立)をはじめとして、特定秘密保護法(2013年成立)、改正組織犯罪処罰法(2017年成立)を「違憲立法」としてその廃止を主張しています。
その他、公約には「選択的夫婦別姓」や国会・地方議会へのクオータ制の導入、LGBTの人権擁護、ヘイトスピーチの根絶といった人権問題に取り組むことがあげられています。また、衆参両院で比例代表中心の選挙制度へと転換することを挙げています。

希望の党

憲法9条をふくめ憲法改正論議をすすめます。国民の知る権利、地方自治の分権を明記します。

出典 希望の党

希望の党は、憲法改正に賛成の立場をとっています。自民党が提唱している9条の改正による自衛隊の明記にも賛成のほか、「知る権利」を憲法に明記して情報公開を推進することがあげられています。LGBTに対する差別を禁止する法律の制定や、道州制の導入を含む地方分権の推進も重視しています。

幸福実現党

「自分の国は自分で守る」当たり前の国家へ
国民の生命・安全・財産を守り抜く体制を構築します。

出典 幸福実現党 政策集 │ 【衆院選2017】幸福実現党特設公式サイト | 幸福実現党 – The Happiness Realization Party

幸福実現党は、9条を含む憲法改正に賛成の立場をとっています。9条改正によって防衛軍を組織するほか、非核三原則の撤廃による米国の核抑止力の強化が謳われています。そのほか、憲法問題としては「信教の自由」の保障や、大統領制の導入二院制の廃止といった抜本的な政治制度改革などを取りあげています。

社会民主党

日本国憲法の「平和主義」、「国民主権」、「基本的人権の尊重」の三原則を遵守し、憲法を変えさせません。憲法理念を暮らしや政治に活かして、具体的な法制度の整備を迫り政策提起をすすめます。

出典 社民党OfficialWeb┃政策┃衆議院選挙2017

社民党は、憲法改正に反対の立場です。9条改正による自衛隊の明記に反対するほか、平和安全法制の廃止、非核三原則の法制化による核廃絶の推進など、憲法の「平和主義」の原則をきわめて重視していると言えるでしょう。人権問題については、改正組織犯罪処罰法や特定秘密保護法の廃止のほか、難民支援の重視、LGBT差別禁止法の制定、ヘイトスピーチの根絶のほか、外国人の地方参政権の実現が明記されています。

日本のこころ

我が党は、長い歴史と伝統を持つ日本の国柄と日本人のこころを大切にした、日本人の手による自主憲法の制定を目指す。

出典 日本のこころ:ニュース:政策実例を発表しました

日本のこころは、憲法改正に賛成の立場をとっています。なお、同党では「改正」ではなく「自主憲法の制定」を謳っており、同党のサイトでは改憲草案も既に発表されています。象徴天皇制戦力不保持憲法の改正要件などの見直しがあげられているほか、衆参両院の役割分担の見直しなども取り上げられています。

立憲民主党

専守防衛を逸脱し、立憲主義を破壊する、安保法制を前提とした憲法9条の改悪とは、徹底的に闘います。現下の安全保障環境を鑑み、領域警備法の制定と憲法の枠内での周辺事態法の強化をめざします。基本的人権の尊重、立憲主義、民主主義といった原則は、決して揺るがしません。解散権の制約や知る権利など、この原則を深化するための憲法論議を進めます。

出典 立憲民主党|特設サイト 国民との約束。

立憲民主党は、9条の改正を含む憲法改正に反対です。9条以外の改正の賛否は明確化されておらず、3つの基本原理を深化させるための論議は進めると含みを持たせています。共産党・社民党と同様、平和安全法制や特定秘密保護法などには反対の立場をとっているほか、人権問題としては公務員に労働基本権を認めることや、取り調べの可視化の推進などがあげられています。

公明党

施行70年を迎えた日本国憲法を優れた憲法であると評価しています。現行憲法は、日本の民主主義を進展させ、戦後秩序の基本となりました。とくに、「国民主権」、「基本的人権の尊重」、「恒久平和主義」の3原理は普遍の原理であり、将来とも堅持します。
一方、憲法施行時には想定できなかった課題が明らかになり、憲法規定に不備があるためそれを解決できないのであれば、そのための新たな条文を付け加えること(加憲)によって改正することを考えています。

出典 公明党 | 衆院選2017 特設サイト

公明党は、自民党と連立政権を形成していることもあり、憲法改正には賛成の立場をとっています。ただし、積極的な改正ではなく、3つの基本原理を堅持したうえで、環境保護や地方分権、緊急事態条項などの「加憲」について検討する、という立場です。9条の改正については消極的です。人権問題としては、選択的夫婦別姓の導入、性同一性障害への対応、ヘイトスピーチの解消などをあげています。

自由民主党

現行憲法の「国民主権」、「基本的人権の尊重」、「平和主義」の3つの基本原理は堅持しつつ、憲法改正を目指します。
憲法改正については、国民の幅広い理解を得つつ、衆議院・参議院の憲法審査会で議論を深め各党とも連携し、自衛隊の明記、教育の無償化・充実強化、緊急事態対応、参議院の合区解消など4項目を中心に、党内外の十分な議論を踏まえ、憲法改正原案を国会で提案・発議し、国民投票を行い、初めての憲法改正を目指します。

出典 「この国を、守り抜く。」|衆議院選挙公約2017|自民党

自民党は、憲法改正に賛成の立場をとっています。9条改正による自衛隊の明記が注目されていますが、ほかにも教育無償化参議院の合区解消といった制度に関しても触れられています。人権問題としては、選択的夫婦別姓には触れられていませんが、旧姓使用の拡大、被選挙権年齢の引下げ、LGBTに関する理解の深化などをあげています。また、道州制の導入を推進していくことが明記されています。

日本維新の会

憲法改正・国民投票で、現行憲法が未だに国民投票を経ていない等の問題点を解消。身近で切実なテーマについて改正案を発議、国民投票に付していく。

出典 衆議院選挙特設ホームページ2017|日本維新の会

日本維新の会は、憲法改正に賛成の立場をとっています。9条改正にも賛成の立場をとるほか、高等教育を含む教育無償化道州制の導入憲法裁判所の設置によって「抽象的違憲審査制」を認めることなどを改正項目としてあげています。また、将来的な課題として「一院制の導入」もあげられています。

支持政党なし

支持政党なしでは、党としての政策はなく、議会において出てくる各種の議案や法案については、その議案や法案ごとに一つずつインターネット等を通じて皆様方にその議決に参加して頂き、一括してお任せ頂く訳ではなく個別にその議案や法案ごとに賛成多数であれば賛成に反対多数であれば反対へと、皆様方の使者として議決権を行使しに行くだけと考えております。

出典 支持政党なしの理由

支持政党なしは、各法案に対する賛否を有権者の投票によって決定することを謳っているため、個々の政策課題に関する賛否や立場などは明らかにしていません。

まとめ

今回は、憲法改正問題を中心に、政治制度や人権問題といった「法律」に関わる論点を取りあげてみました。憲法改正に賛成か反対か、賛成としてもどの部分を改正するかには、各政党の違いが出ており、注目したいところです。道州制や選択的夫婦別姓といった新しい制度に関する論点も提示されています。
各政党の政策すべてをまとめることは難しいので、ぜひ各党の項にあるリンクから公約を読んでみましょう!